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徳川家康の性病予防法ー自己コントロールの徹底

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戦国時代には梅毒がはやった。
黒田官兵衛、加藤清正、前田利長・・・
そうそうたるメンバーが感染した。

なかでも大谷吉継は「病気キャラ」だ。
病気のため顔が崩れ、布で隠している。
梅毒であったとの説もある。

豊臣秀吉が開いた茶会で
茶碗の回し飲みがされたさい、
大谷吉継の茶碗を皆が避けたなか
石田三成がためらわず飲み干したため
ふたりは深い絆で結ばれた。

関ヶ原の戦いで大谷吉継は
死に至るまで石田側で戦った。
梅毒が結んだ友情である。

徳川家康の性病予防対策

戦国時代を勝ち抜き、天下統一したのは徳川家康だ。
家康は性欲をコントロールしたのだ。
具体的にやったことは
「相手をえらぶ」
これにつきる。

家康にも性欲はある。
むしろ人一倍やりたいほうだ。
しかし自分の家来筋の女のみを「奥」に入れ
その中でのみ活動した。

遠方に戦争へ行くときも
必ず侍女団を連れていく。
出張先で現地の女性と接することをおそれた。
疲れている時は部屋から女を出してしまう。
疲労の蓄積からくる体調不良をさけるためだ。

家康にも好みはある。
しかし誰を好きかいっさい悟らせなかった。
そのため「奥」のマネージャー役だった西郡局は
「上様はどなたがお好きやら」とこぼした。
強烈な自己コントロールである。

こうして家康は、
「奥」を強力な総務部隊にしたてた。
衛生上の問題を避け、
さらにのちのちのお家騒動を予防した。

豊臣秀吉の無防備さ

対照的なのが豊臣秀吉だ。
たんさんの女性にアプローチしまくった。
好みだってはっきりしている。
「高貴な血筋の少女」である。

当時の標準は秀吉のほうだ。
大名たちは無邪気に性交し
性病に感染した。
戦争に勝ち、セックスすることが
「生きる喜び」だったのだろう。

戦国時代にあって家康は異色の存在だ。
みずからの体調管理に気をつかった。
自分の欲望と感情を管理しぬいて
さいごに天下を取ってしまった。

司馬遼太郎の家康

『覇王の家』という小説がある。
徳川家康を幾多のトラブルがおそい、
ひたすら耐え忍ぶという筋書きだ。

不幸と不運があまりに多すぎて
もはやホラーである。

司馬遼太郎先生はおそらく
家康が好きではない。
ドラマの主人公として
家康は華やかさに欠ける。

「興ざめるほどに実利的な男」が
「自分を抽象化するという奇妙な訓練を自分に課していた」

しかし『覇王の家』で描かれる家康は魅力的だ。
徹底的して現実主義である。
妙なところに長所が光る。

家康は体調管理のためスポーツ(鷹狩)をした。
医師以上に薬に通じ自分で処方した。
疲労をためずしっかり休養する。

成功者の努力は、地味な行いの果てしない積み重ねだ。
はなばなしく人生を楽しむ男たちを
さいごに支配してしまったのは家康だ。


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